戦没者を弔う気持ちはわたしもあります。地元にも戦没者の慰霊碑があり、そこに行けば黙祷するし、夏は非戦・非核を誓って毎年ピースウォークをしています。
でも「平和と繁栄のために戦争が必要だった」という考え方は権力者に悪用されることもあるので注意が必要です。以下、発言をそのまま掲載します。中川村のサイトはこちら。
中川村村長 曽我逸郎
長野県戦没者遺族大会と長野県戦没者追悼式に出席した。いろいろ考えさせられることがあった。
最も気になったのは、たくさんの来賓の方々が挨拶をされ、追悼の言葉を述べられたが、どの言葉も、その場を耳障りよく流れていくことに気をつかうばかりで、真剣に突き詰めて考えられたものではなかったことだ。
「戦争で亡くなった方々の尊い犠牲があって、現在日本の平和と繁栄があることを、私たちは一瞬たりとも忘
れてはならない。」
登壇したおそらくすべての人がこのようにおっしゃった。様々な戦没者追悼式で必ずといっていいほど言われる言葉だ。しかし、本当にそうだろうか。戦争の犠牲がなければ、平和と繁栄は得られなかったのか。私にはそうは思えない。もし戦争がなくて、平和のまま、犠牲になった兵士や市民が元気に活躍し、それぞれの夢や計画に邁進しておられたら、今の世の中は、もっともっとよいものになっていたのではないのか。戦死した皆さんは、戦争で犠牲となることを強いられることによってではなく、農業や得意とする技術やみずからの構想を実現することによって、日本や社会に貢献することを望んでおられた筈だ。私たちは、かけがえのない人たちを失ったのだ。破壊と殺戮が、どうして平和と繁栄に貢献するのだろうか。
戦争による死を、「無駄ではなかった、意味があった」と信じたい遺族の方々の感情はよく分かる。しかし、「平和と繁栄のためには犠牲が必要だった」という考えは、危険な芽を孕んでいる。「今後も平和と繁栄のためには時として犠牲が必要となる。」こういう考えを誘い入れかねない。勿論、演壇に立たれた方々がこんなことを主張された訳ではない。しかし、深く考えていないために、突き詰められればこういう考えを容認することになる。
「世界の恒久平和実現に向けて一層の努力を傾けることを、戦争の犠牲になった皆様の前でお誓い申し上げます。」
壇上からの言葉の多くは、こういう形で締めくくられた。それと同時に、多くの方が、「今も繰り広げられるさまざまな地域紛争に心が痛む」とおっしゃった。なのに、なぜ、「テロとの戦争」に加担していることは不問に付すのか。誤爆その他で幼い子供を含む多くの一般市民が犠牲になっているにもかかわらず…。それを私たちは私たちの税烽ノよって支援しているのに、なぜ知らないふりをするのか。戦争ができるように憲法を変えようとする動きに、なぜ何も言わないのか。
「テロとの戦争」と誰かが名づければそれでいいのか。「自由のため」の戦争ならいいのか。「平和のため」の戦争ならいいのか。「繁栄のため」の戦争ならいいのか。「国益のため」の戦争ならいいのか。もしそういう条件付きでの「恒久平和」の希求なら、そのように言うべきだ。しかし、そんなものは恒久平和とは言えない。
だから、思考を停止して、その場その場の空気の中で耳障りのいい言葉を流すだけになる。本心では戦争を否定する覚悟はない。
愚かな政治が始めた愚かな戦争の愚かな作戦に引きずり込まれて、餓え、あるいは熱帯の熱病にうなされ、あるいは極寒の地に凍えて、家族を思い故郷を思いながら、夢を奪われて亡くなっていった方々の無念を真摯に思い致せば、耳障りのよい場当たり的な言葉で済ますことはできない筈だ。真剣に覚悟を決めて絶対的に戦争を拒絶することこそが、戦争の犠牲になった方々の心に適うことだと信ずる。
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わたしは、911事件の真実を知らせることが、事件で犠牲になった人や、それをきっかけに始められた「対テロ戦争」で犠牲になっている人たちの本当の弔いになると思っているのです。わたしたちが戦争を卒業し、暴力を過去のものにすることが。
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5 件のコメント:
素晴らしい発言です。
ご紹介ありがとうございます。
我々人間は、暴力を暴力で抑え込む事の無意味さを、そろそろ認識すべき時に来てますね。
イラクで行われていることは、人質100人を取ってビルに立て籠った犯人に対し、ビルごと吹っ飛ばすようなことです。
できればオバマが正式に大統領に就任する前、つまりブッシュが一般の私人になってしまう前に、真相が暴露されることを願っています。
(追伸:先日は、我侭を聞いていただき、ありがとうございました。)
戦争に大義を掲げる人は、
その危害が及ばない処にいます。
戦争によって理不尽に命を奪われる人は、
その瞬間に世界の平和など願わないでしょう。
きくちゆみさんにコメントしていただけるとは光栄です。(アップの顔写真は恥かしいけれど…。)
奮闘ぶりに常々感服しております。
これからも私達が自分で考えるための材料を提供し続けて下さるようお願いいたします。
ええ!ご本人様ですか?光栄です。実は、先日911真相究明国際会議を東京でやり、そのとき招聘したグリフィン博士と一緒に全国をまわりました。名古屋の講演会を主催してくれたのが、龍人(長島隆人)さんです。電通時代にご一緒だったとお聞きしました。いつか曽我さんにお会いしたいです。そちらの村に、私を呼んでくださいな!(講演会を一緒にしませんか?)
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