冷却棟と原子力発電所はそのままの形をとどめていますが、今はランチョセコパークとなって家族連れの憩いの場所となっています。入場料(車一台あたり)は10ドルです。
念の為、ガイガーカウンターを持って空間線量も計りながらいきました。敷地内もパーキングの地面など、原発のすぐ近くまで行ってあちこち計りましたが、ずっと0.07〜0.09μSv/hで大きな変化はありませんでした(サクラメント市内はもう少し高めで0.13μSv/hぐらい)。
ランチョセコ原発はSMUD(サクラメント市営電力公社)が運営していましたが、1989年に住民投票で廃止が決まりました。稼働したのは1975年から14年間ですが、トラブル続きだったそうです。
セコとはスペイン語で「乾燥した」という意味で、水のない内陸の乾燥地に原発を作るために水路と大きな貯水池を作って原発を冷却していました。その費用がどれほど莫大だったか、と思います。
跡地にはランチョセコパークが作られ、キャンプ場となっていました。原発を冷却していた池には今では子どもたちも泳げるような人口砂浜が作られて、家族連れでにぎわっていました。
放射能が心配でしたが、市内よりもむしろ低い線量だったのでホッとしました。
SMUDについてはかなり前に私も取材して記事を書いたことがありますが、ネット上でも沢山見つけることができました。いくつか紹介します。
「今、原子力の是非を問う」サイト:
1989年、カリフォルニア州北部サクラメント郡の都市・サクラメント市で、同市営電力局(SMUD)が所有するランチョセコ原子力発電所(The Rancho Seco Nuclear Generating Station)の存続の是非をめぐる住民投票(レファレンダム)が行われた。
1975年から14年間稼働したこの原子炉に対する、6月6日に行われた投票での投票率は、全有権者53万人中の約40%。結果は原発廃止53%、原発存続47%で原発廃止が決定した。
ーー引用ここまで。
一度原発ができてしまうと、そこは放射能汚染で二度と使えない土地になるのではないかと心配していましたが、SMUDは同じ敷地内に天然ガスの発電所を作って、同じ送電線を使って発電を続けています。
また近隣の広大な農地が太陽光発電所になっていたり、風力発電があったりと再生可能エネルギーへの投資も盛んです。
また住民投票で原発を停止した後に一時的に足りなくなった電力を賄うために、SMUDがさまざまな具体的で効果的な方策を取ったことは、現在、原発停止中の日本でも参考になります。:
原発と住民投票 サクラメントhttp://homepage3.nifty.com/morrio/back2/plate/sacra.html
より引用:
具体的に実施したことは、次の事項であった。
(1)古いエアコン、冷蔵庫を省電力製品にするための普及・開発キャンペーンを実施した。省電力に協力した消費者に対する還元サービスを実施した。(低所得者には無償で交換)。
(2)オフィス、家庭で使われている白熱灯を、蛍光灯に大量に切り替えた。
(3)温度分布を検知できる赤外線カメラを積んだヘリコプターを市の上空に飛ばし、各建物の温度分布を調べた。熱が大きく漏れている所には、改善を要求した。
(4)熱漏れを防ぐために目張り、断熱材、二重窓などの措置を促した。
(5)自然エネルギーを推進、風力発電、太陽熱温水器、またピーク時の電力消費を減らすため太陽光発電導入を奨励し、補助をした。
(6)「緑のカーテン」を作るため家庭、街の植樹も行い、ヒートアイランド現象を抑制し、消費量が最高となる、夏の昼のピーク消費電力を少なくした。
ーー引用、ここまで。
現在、SMUDは2020年までに再生可能エネルギー率を33%にすることを目標にしており、米国の中では環境により配慮した電力会社と言えます。
現在、SMUDは2020年までに再生可能エネルギー率を33%にすることを目標にしており、米国の中では環境により配慮した電力会社と言えます。
今日、ランチョセコ原発を案内してくれたのは、サクラメント市民で元教師のアメリカ人ですが、彼は「放射能さえなければ僕は原発に賛成なんだけどね」と言っていました。確かに放射能はないほうが良いですが、お湯を沸騰させてタービンを回すのに、何千度もの熱エネルギーをつくって、2/3を温排水として捨てるのは無駄すぎます!
カリフォルニア州は最近、サンオノフレ原発が停止したので、残るはサンルイスオビスポにあるディアブロキャニオン原発だけになりました。この原発は活断層の近く(上、という説も)にあるので、次の大きな地震の前にこれを止める必要があります。
もう二度と福島を繰り返さないために、地震国の原発はすべて停止、廃炉にしたいです。
公園の案内板にも太陽光発電のパネルが取り付けられていた。
夏休み中だったのでキャンプ場は家族連れでにぎわっていた。
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