ワシントンで行われている平和省会議に参加しています。これまでいくつもの国際会議に参加していますが、これほど民主的でパワフルな会議ははじめてです。アメリカにはもう学ぶことはない、と言い放つ日本人によく出会いますが、政府には学ぶことはなくても、アメリカの人々の学ぶことは、多いにあります。この会議を主催しているピースアライアンス(平和同盟)に感謝と尊敬の気持ちを抱かずにはいられない初日でした。
この会議の目的は、平和省法案をアメリカ人に広く認知させ、賛同を得て、それによって議会を動かすことにあります。デニス・クシニッチが立案したこの法案が米国議会に提出されるのは3度目ですが、1960年代にも同様の法案がインディアナ州のハートキ議院によってい提出されていたことを知りました。
司会は精神世界の美しいリーダーでベストセラー作家のマリアン・ウィリアムソン。昨日は早速、彼女を私のポッドキャストでインタビュしましたので、あとでアップしたらぜひ聴いてください(英語です)。まず驚いたのはその参加者の多さ(500人)と多様さ。全米50州のうち、現在平和省法案の実現のために活動をしているのはなんと46州。あと4州で全州での活動が実現します。
それぞれの州の人が、それぞれの州の下院/上院議員に働きかけ、この法案の重要性を認識させ、法案を可決させせるという、まさに民主主義の王道を行く運動です。全体会議は米国でさまざまな非暴力運動に関わる著名人ですが、ランチやディナーの時間は各州のコーディネーターが中心となり、州ごとにネットワークをし、月曜日にはそれぞれの議員事務所でロビー活動をします。忙しい議員に最も効果的に、この法案の意義を理解し賛同してもらうには、どうすればいいか、をそれぞれアイデアを出し合います。今回の会議には全米40州からの参加がありますが、435人の議員のうちこの法案の共同提出者になっているのは53名。まだまだ足りません。
主催者のドット・メイバー、司会のマリアンの進行はすばらしく、(誰もがここにはるばるやってきたことをねぎらい、感謝しているのが伝わります)、そのせいで500人からの喜びが伝わってきます。この法案に対して「甘い(ナイーブ)」という批判がよく反対者から出ます。それに対してマリアンは、「いまのアメリカの暴力的やり方を続けて、私たちが生き残れると思う方が、よっぽどナイーブです」と痛烈に批判。会場は拍手喝采。まったく同感。いまのアメリカの軍事介入もライフスタイルも、どちらも持続可能ではありません。もちろん、それに追従している日本も同様。「新しいやり方」を見つけなくてはならないし、それは可能です。それが平和省法案に盛り込まれています。
この法案の特徴は海外での暴力(軍事介入)だけでなく、国内での暴力にも対処していることです。アメリカでは毎日殺人(年間21000件/2001年)が多発し、その中で子どもが子どもを殺す事件だけでも毎日12−18人が亡くなっています。14歳のこどもに20歳の息子タリク君を殺された父親が、息子の名前をつけた財団(www.tkf.org) を設立し、殺人を犯した家族と共に活動している事例は聴衆に大きな感動を与えました。彼が悲しみと絶望の中からたどり着いたのは、一人でも多くの子どもをこのような暴力から救う、ということでした。罪を犯した者の家族の苦しみにも共感し、その家族と共に子どもの暴力犯罪に取り組み、画期的な効果をあげています。人間とはこれだけの困難に出会いながらも、こうも素晴らしく生きられるのか、と涙が止まりませんでした(私の両隣の人も泣いていました)。
さて、今日もどんな出会いがあるか楽しみです。私がもってきた憲法9条の条文は、100人ぐらいの参加者に説明して配りました。何人かの人にはこの9条についてのインタビューもしています。あとで編集してみなさんに公開ます。9月19日には、この会議の報告ができるのを楽しみにしています。明治大学リバティータワー1103室で、午後1時から。ボランティア(募集中)は11時集合です。
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