2005/01/16

NHK番組改ざんの話のこと

慰安婦問題を扱った番組を政治家が圧力をかけて改ざんさせたことは、アジア各国でもニュースになっていますね。ここオーストラリアではまだ見ていませんが、丹念に探せばあるかもしれません。そのときはお知らせします。

友人の千早(オーストラリア在住で『911ボーイングを捜せ』の翻訳者の一人)が朝日新聞に投稿した手紙がとてもよかったので、アップします。マスコミに批判を送ることは大切ですが、同じように大切なのが、励まし、エールを送ること。もしかしたら、後者のほうがもっと大切かな、と思うこのごろ。

こういう世の中になってくると、私たちにとって「いい記事・いい記者」が会社の中では処遇が悪かったり、肩身の狭い思いをしているかもしれないから。内部告発をしたNHKの長井プロデューサーが処罰されることがないように、ことの推移を見守っていきたいし、こういう人こそサポートしていきたいですね。 
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 本田雅和様、
 高田誠様、

この度の「NHK番組改変問題」に関する一連の報道に喝采を送ります。

良質な番組も存在するとはいえ、ニュース報道などを見る限り日頃から「NHKはまるで『大本営発表』だ」と思っていま したが、ここまでひどいとは情けないのも甚だしい。

英国のBBCやオーストラリアのABCが、丁度日本のNHKの様な局であるのに、完璧とは言えないまでも、権力側に迎合することなく彼らへの批判精神を忘れない報道を——真のジャーナリストであり続ける努力をしているときに、日本のNHKはまるで「米政府にベッタリで、言われる前から米政府の思惑以上のことをやってあげている日本政府」の様です。

本来、日本政府とは日本国民のために働く機構であるのに、その「雇い主」である日本国民をないがしろにするような政治を長年やってきて、平気でいる。嘘もつき放題です。同様に、NHKも国民からの受信料で成り立っていて「みなさまのNHK」などと言いながら、その実メ諸々の事実を国民に知られたくない権力者モの言いなりになっているのです。こんな不正はガンガン暴いて、改善していかなければなりません。

イラクの大量破壊兵器だって、侵略が始まるずっと前から元国連査察団チーフのスコット・リッターたちが声高に世界中に向かって叫んでいた通り、なかったではありませんか! そういう報道はろくにせず、御社も含め、アメリカ主導の違法で不正な侵略戦争に協力してきた新聞、TVなどのメディアの責任は重大です。

「ネットで色々調べなければ、本当は何が起こっているのかが見えない」のはおかしい。「普通の暮らしをしていて、TVや新聞からの情報しかない人には届かない事実がこんなに多い」というのはおかしいです。

サダム・フセインがそんなに悪なら、証拠を集めてICC(国際刑事裁判所)に訴えればよかったのです。アフガニスタンも同様、非人道的爆撃をして、すでに旱魃で苦しんでいた人民の命を奪う権利など、誰にもなかったはずです。はっきり言って、私たちはいまだに「オサマ・ビン・ラディンが9・11の犯人である」証拠を見ていません。当時週刊朝日に連載していた池澤夏樹氏が書いたとおり、「タリバンは、アメリカが9・11の容疑者と見た人物を客人としてもてなしていた(米政府から見れば「かくまっていた」)」だけでした。日本の国内法なら1万円だかの罰金刑だった。

アフガニスタンにも、またイラクに対しても、取るべき解決策を除外し、ICCのような機構には批准もせずに不正行為を続ける各国政権を止める力になるのがメディアのはずです。そのメディアが腐敗していては、私たち地球の市民は救われません。

10万人以上ものイラクの無辜の民を殺し、今後もそれ以上がメ半減期48億年モのDU(劣化ウラン)などの影響で死んでいくのです。侵略側の米兵の中にも、メ立派なモ犠牲者がたくさん出ています。なのに誰もその責任を取ろうともしない! 

ブレア英首相が先日、津波被害者への寄付金が増える一方で、元々充分でなかったアフリカのエイズによる孤児などへの支援が減っていることに関し、「津波は天災だが、エイズ孤児などの状況は人災だ」と発言しているのを聞いて、私は仰天しました。偽りの理由で開始されたイラクへの侵略戦争自体、彼がブッシュと共に引き起こした人災ではないですか! あれほど大量の人命を奪っておきながら、戦犯たちはその後も嘘をつき続け、逮捕すらされない。しかも、そういう連中がメ権力の座モに居座っている。

そんな中で、「被害者の声だけは何とか守りたかった。最後まで闘えなかったことを反省している」と言って告発を決意した長井プロデューサーの決断は大変貴重です。

そう、今回は、長井暁NHK番組制作局チーフ・プロデューサーの言語に絶する苦悩の挙句の告発があり、お二人が記事にするという行動があって、はじめてこの問題が広く知られるに至ったのです。

長井氏の勇気に最大限の敬意を表すると同時に、お二人の、本当のジャーナリスト精神を称えます。そして、今後もこの問題を鋭く追及し、長井氏が不当な扱いを受けない様、続報をシリーズ化するなどして、近年非常におかしくなっている日本のメディア、ジャーナリズムを是正する原動力になって戴きたく、お願い申し上げます。

「女性国際戦犯法廷」のVAWW-NET Japan を立ち上げた、元朝日新聞編集委員だった松井耶依(やより)さんも、きっと天国から見守っておられると信じて。

歪んだ権力者たちに負けないで!
正義は、いつかきっと勝利します。

期待しています。

Love, Peace and in Solidarity,

千早

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