2005/01/23

オン・ザ・ロードinオーストラリア

昨晩はシドニーのキャラバンパーク(家族連れにとっては最適の安宿)で、家族そろってテレビを見ました。この番組の放映を教えてくれたのは、オーストラリア在住で『911ボーイングを捜せ』の翻訳者の一人である千早。番組はフランスのドキュメンタリーを翻訳したもので、タイトルはずばり「911Didn't Happen(911は起こらなかった)」。どんな内容か興味津々で見たのだけど、ちょっと期待はずれでした。

フランス人のティエリ・メサーンが書いた本『Effroyable Imposture(恐るべきペテン)』を中心にした話の展開で、それがどのように世界中に広がっていったか(現在50カ国以上で出版。日本では出版されていますか?アメリカでは?)を描いていました。でも、取り上げ方は、「陰謀説で大もうけをした」というレベル。チェリ・メサンの本については、こちら:日本語版『911ボーイングを捜せ』のタイトルの元になったのは、この番組の中でも取り上げられていたフランス語版のホームページ“Hunt the Boeing(フランス語でなんと言うのか、聞き取れませんでした)”です。番組の中でも、私たちが見慣れたペンタゴン崩壊前の写真や5メートルの穴しか開いていない写真が映りました。

メサーンの本はフランスでベストセラーになり、この本のヒットに刺激されて翌年の9月11日には、ドイツでも雨後のたけのこのように多くの911陰謀説をテーマにした本が出版さたそうです。いずれもよく売れて、人々の興味の高さを伺わせました。ついには、ドイツの調査報道の牙城である「Die Spiegel(ディア・シュピーゲル)誌」までが911事件の陰謀説に取り組まざるを得なくなりましたが、結局発表はしなかったとのこと。

私は20代の前半、シュピーゲル誌のアジア総局長のティッチアーノ・テルッツァーニ氏のアシスタントをしていました。彼は私が知っている限り、ジャーナリスト中のジャーナリストでした。シュピーゲル誌が正面からこの問題を取り上げなかったのは残念。テルッツァーニ氏が生きていたら、きっと取り上げただろうな、と思いました。テルッツァーニの反戦の手紙:メサーンの本は当然、アラブ諸国で大ヒットしました。もともと反米のイランはもちろん、親米のエジプトでもベストセラーに。陰謀説の皮切りは、事件から1週間も満たない9月17日に、レバノンのテレビが報道した「9月11日、世界貿易センターで働いている4000人のユダヤ人は、モサドの警告があったために仕事にいかなかった」というもの。これは日本でもネットで流れていましたね。この番組の中では、実際は400人のユダヤ人が亡くなり、その追悼式を取り上げ、25歳の息子を亡くしたユダヤ人の母親をインタビューしていました。でもこれだけでは、事実がはっきりしません。事前にこの事件を知らされたために、生き延びた人がいたのかどうか、もう少し深く検証して欲しかったです。それができるほどの情報が 公開されていない、とういことなのでしょうか。

911事件は本当に19人のアラブ人テロリストの犯行なのでしょうか。19人の実行犯とされた人たちのうち、数名はまだ生きていることも、この番組で取り上げられていました。私自身は米国政府の発表はもう信じてはいませんが、仮に発表どおりの事件だったとしても、アフガニスタンやイラクへの攻撃は不必要でした。税金と資源の無駄遣いで、無実・無関係の人々のいのちを奪い過ぎであり、この「対テロ戦争」はちっともテロ対策になっていません。こんな戦争でいのちを奪われた人々とその家族はどんなに無念でしょう。戦争を食い止められなかったことが、悔しいです。

戦争をしている国、しようとしている国のメディアは、国民に本当のことを知らせません。このことを肝に銘じて、米国メディアを批判的に見る必要があるし、その翻訳をそのまま流すことが多い日本のメディアも要注意です。最近のNHKはそのいい例といえましょう(がんばれ、長井プロデューサー!)。

1月20日には、ブッシュ大統領就任式にぶつける大規模なデモが、米国で予定されています。今年の一般教書演説では、イラクからの撤退について触れるでしょうか。ブッシュ大統領は、最近イラクの占領政策について「見直し」という言葉を口にし始めていますね。

1月末のイラクの選挙は、とてもスムーズに行われそうもありません。なんせ選挙に行くこと自体がいのちがけなのですから、誰がそんな危険を冒してわざわざ行くでしょう。選挙管理委員が全員辞表を出したり、選挙をボイコットする勢力が増えたりしています。イラクの人々の米軍占領への抵抗は、収まらないどころか日に日に勢いを増しています。ファルージャであれだけ無実の人を殺してしまった占領軍は、親米的だった人々まで完全に敵に回してしまいました。米国の占領はここでも失敗だった、と言えます。

それにしてもふがいない日本とオーストラリア政府。国民の声より、アメリカ政府の声を聞くのはどうして?実は、こちらに来てから、オーストラリア人と「どちらがよりアメリカの第51州らしいか」を言い争っています・・・。日本とオーストラリアは政治的に似ている部分があり、驚いています。国民の大半は戦争にも軍隊のイラク派兵に反対ですが、政府が反対の声を押し切って派兵しています。両国がアメリカに「NO」といえない弱みは、何なのでしょうか。石油?経済?それとも・・・。

小国でもお隣のニュージーランドは、イラクから軍隊を撤退させました。2月には初めてニュージーランドも訪れるので楽しみです。小さくて、きらりと光るニュージーランド。もし日本以外の国に住むなら、この国は第一候補です。温泉もあるし、気候が日本と似ているし、政府が先進的だから。

津波は止められないけど、戦争は止められる。次の戦争は止めたい。そのために、できることをやり続ける。そんな気持ちで、明日から北上します。カースルヒル20日)、コフスハーバー(21日)、バイロンベイ(22日)、ブリスベン(23日)、サンシャインコースト(24日・デジャーディン・ゆかりさんの家)で、ミニ上映会をする予定。米国と違い、この国には知り合いが殆どいないので、上映会を設定するのは簡単ではありません。これまで出会った人のつてと、日本在住のオーストラリア人の友人からの情報を頼りに動いています。それでもなんとかコフスハーバーとサンシャインコーストは会場も決定し、人集めも始まりました。もし、オーストラリア在住で興味のありそうな方をご存知でしたら、私の携帯を教えてください。04-1674-0870。もちろん、日本からもOKで、国番号は61。しばらくメールへのアクセスができませんが、また続きをご報告しますね。

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