2011/05/08

広瀬隆「日本と世界を滅ぼす原発震災~巨大地震におびえる日本列島」

以下は米国の政治ニュースサイト「Counter Punch」で既に発表された広瀬隆さんの記事です。日本語では本邦初公開!かもしれません。

ご本人からここで発表する許可を頂きましたので、私のブログの読者にいち早くお届けします。

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◆日本と世界を滅ぼす原発震災~巨大地震におびえる日本列島

  広瀬隆

○地震による原子力プラント破壊の危険性

 すでに深刻なまでに老朽化が進行している原子炉が、あたかもサイボーグのように部品を取り替えて運転を強行しているが、地震の活動期に入った日本で、いつ大事故を起こすかも知れないと、全国の人が大きな不安を抱きながら生活している。

多くの人がなぜ大事故をおそれるか。事故の可能性を最も高めると感じるのは、地震大国・日本における大地震の脅威である。

地震学者・地質学者たちが異口同音に語っているように、1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)から、日本は戦後ほぼ半世紀にわたる地震の静穏期を終えて、地震の活動期に入っている。二〇〇四年には、新潟県の山古志村に大被害を与えた中越地震が起こった。三年後の二〇〇七年の中越沖地震では、ついに柏崎刈羽原発が大打撃を受けた。二〇〇八年には岩手・宮城内陸地震が起こり、山がまるごとひとつ消えるというおそろしいことが起こった。さらに二〇〇九年の駿河湾地震で、静岡県の浜岡原発が緊急事態となった。そして今回、二〇一一年の東北地方三陸沖地震……。しかもこの活動期は、これから数十年続くと見られている。地質学的に見れば十数年というのは、ほんの一瞬といっていい時間である。

私は、地球を覆っているプレートの中で最大の太平洋プレートが大きく動いているので、世界的に地震が続発するのではないかと予測していた。

巨大地震のJPG

その予感の通り、2009年8月に駿河湾地震が三つ子地震として起こると、翌9月~10月にかけて、サモア諸島沖地震、スマトラ島沖地震、バヌアツ近海地震がいずれもマグニチュード7・6~8・0の規模で起こった。兵庫県南部地震の3倍~11倍の大地震である。これらは図に示したように、いずれも太平洋プレートの動きが中心にあって、どれもがその作用を受けたプレート境界で発生した。翌2010年1月には、太平洋プレート~ココスプレートに押されたカリブプレート境界線上でハイチ地震が発生し、2月にチリ沖で発生した地震はマグニチュード8・8という、巨大なものであった。この地球的な連続地震がおさまってくれるよう祈っていたが、太平洋プレートの動きは、やみそうもなく、2011年3月11日の東北地方三陸沖地震が福島原発メルトダウンを招いた。

○六ヶ所再処理工場は大丈夫か

 日本全国すべての原発と六ヶ所再処理工場で、マグニチュード7から時には8クラスの巨大地震を起こす大断層が至近の距離に走っている。マグニチュード8の衝撃を受ければ、原子力プラントが無事であることは、ほとんどあり得ないことも分っている。

不幸にして、その代表が、目の前の海底大断層が六ヶ所村に上陸していることが明らかになった六ヶ所再処理工場である。日本全国から高レベル放射性廃棄物=死の灰を集めている青森県は、この太平洋プレートに直面して存在する北米プレート上の陸土である。つまり六ヶ所再処理工場にとって一番こわい目の前の海底プレートが、日本列島の下に深くもぐりこんで激動しているわけである。

六ヶ所再処理工場は、建設時に375ガルという低い耐震性しかなかった。現在でも、六ヶ所再処理工場の耐震性はいまだに450ガルにしか上げられていないが、最近の日本の

巨大地震のJPG

地震では、2000ガルを超えるような大地震が続発している。。さらに悪いことに、下北半島は、ほんの5000年前の縄文海進時代に、完全に海の底に水没していた超軟弱地帯であるから、地震が来れば一発でやられる危ない地帯である。(注記:ガル、あるいはガリレオは地震の際の加速度の単位で、人間や建物にかかる瞬間的な力の事。 地震動の加速度で一秒間にどれだけ速度が変化したか表す単位で、震度同様、同じ地震でも観測地点の位置によって違う値を示す。)
 
再処理工場は、全国から集めた使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出して、高レベル放射性廃液を分離する世界で最も危険な化学工場である。
 

巨大地震のJPG

しかもすでに高レベル放射性廃液が240立方メートルも貯蔵されてしまった。脅威となっているのは、この液体の管理に失敗すると、原子炉の大事故を上回る巨大カタストロフィーになるという危険性である。この廃液は、崩壊熱を出し続けるので、冷却し続けなければならない。しかし、大地震で冷却用の配管が破断して、あるいは電源系統が切断されて停電となり、冷却装置が完全に停止すると、液体が沸騰し始める。最後には爆発によって工場の周囲100キロメートルの範囲で、全住民が致死量の10倍から200倍の放射能を浴びて即死することが、西ドイツの原子力産業の解析で明らかになっている。

さらに2011年の東北地方三陸沖地震からほぼ一ヶ月後の4月7日に、大震災後で最大の余震が起こり、六ヶ所再処理工場でも、外部電源が遮断され、非常用電源でかろうじて核燃料貯蔵プールや高レベル放射性廃液の冷却を続けることができたという、日本消滅の一歩手前まで行った。 ところが日本のマスメディアは、その後も、平然として、以前と変らない。

○年々迫る東海大地震と、浜岡原発の危機

 静岡県の浜岡原発は、駿河湾でマグニチュード8クラスの巨大地震が起こると警告されていながら、とてつもない巨大地震の危険性と同居しながら、綱渡りの原子炉運転を続けてきた。

巨大地震のJPG

太平洋を中心にプレートの配置を見ると、「フィリピン海プレート」、巨大な「太平洋プレート」、「北米プレート」、「ユーラシアプレート」がこみあっているところ、上図の左上に日本がある。このプレート4枚がひしめき合う中心こそ、下図の静岡県御前崎で、だからこそ周期的に大地震が起こる場所だということがよく分る。

巨大地震のJPG

浜岡原発で最もおそれられているのは、下図のように、巨大地震の東海地震と南海地震がほぼ100~250年周期で起こってきた歴史の必然性を知っているからである。2011年現在は、安政東海大地震からすでに157年後にあたり、次の大地震の発生を「今か今か」と待っている不安な状態にある。

巨大地震のJPG

そして予測されている次の東海地震の想定震源域の中心(図中の×印)に、信じがたいことに浜岡原発がある。しかも海底の音波探査の図を見ると、もう30年前からユーラシア・プレートが大きくたわんで、今にもはねかえりそうな状態になっている。

巨大地震のJPG

巨大地震のJPG

今回のような津波が、日本の原発を襲った場合は、グラフのように日本全土の原発は すべて壊滅することが分っている。

「日本と世界を滅ぼす原発震災~巨大地震におびえる日本列島」v.2 - MS Word .doc フォマート 2.6 MB

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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

広瀬さん今晩は 初めに貴方の考え方まったく同感です 毎日原発再開の是非国民の考え
さまざまです 私は国民に原発再開の阻止
活動を真剣に考えて欲しいと政府や各県知事
その他に阻止の活動していますが 微力の力
悔しいです 長い人類の歴史の中 愚かな現在人の誤った道が地球の滅亡に舵を切ろうとしています 先日の佐賀の玄海原発の再開要請の中で原発の事故は国が責任を持ちますとの海江田氏の発言に馬鹿たれと声が出ました
何と目先のことだけの考え 悔しくてたまりません 知事も国が責任を持つのならと原発
再開前向きに これも腹が立ちます やっぱり裏金には目が眩みましたね 一方で美しい
日本とか自然を大切にとか 言う資格は
ありません 今日は広瀬さんのテレビコメントを見てメールしました 何とか後輩の人類に 住める地球を残したい

匿名 さんのコメント...

目を背けたくなるような内容に愕然としています。
私はつくば市在住の一児の母です。
福島原発事故後、初めて原発の恐ろしさを知りました。
原発がこんなに脆いなんて…
青森にこんな恐ろしい化学工場があるなんて…
何も知らずにのうのうと生きてきました。

日本国民の命が、「電気でつながれている」なんて考えもしなかったし、何故そんな不安定な物を地震大国日本に作ったのか、素人の私からみても不思議でなりません。
原発が崩れた際の不利益はとてつもなく大きいのに、利益は「電気の供給」だけ。
政府や電力会社の利益のために、何故、国民が被害をこうむらなければならないのでしょうか…。

私達日本人は今まで、日本という「ぬるま湯」につかりすぎたのですね。
安全な国において、自分の生活を脅かす事故など起こるはずない、政府やマスコミからの情報が嘘であるはずがない!
前代未聞の大原発事故が起きた今でも、普通に生活することが良しとされている現状に、恐怖を感じております。
広瀬さんの記事を読むことで、現実と向き合う覚悟ができました。
原発から目を背けず、何が真実か見極めて生きていかなければならない。
右にならえではなく、自分の意志を強く持ち流されることなく、我が子を守っていこうと思います。
貴重な情報をありがとうございました。