2007/09/08

危ないぞ、日本ーー日米の教科書事情比較

戦争中毒の JPG

このブログとわたしのメルマガの読者だけが知っていて、日本ではニュースにならなかった痛快なこと。それはあの『戦争中毒』(Addicted to War)が今年、アメリカのサンフランシスコで高校の歴史教科書の副読本に選ばれたこと。この5年間、アメリカの学校や先生にAddicted To Warをプレゼントし続けてきたことが、ようやく結実した、と喜んだものでした。

さて、ひるがえって日本は?

慰安婦の記述は完全に教科書から消えたし、今度は沖縄戦のときの「集団自決」に日本軍の関与がなかったことに。南京大虐殺もなかった(仮に人数が少なくても、なかった、ということにはならない)とか、権力者側がみんなに知ってほしくない歴史を消そうとする動きが進んでいます。最近、本屋さんに行くと、「勇ましい」タイトルの本が平積みに。アメリカから独立するのはいいけど、軍国主義日本の復活はごめんです。

確かに、自国の残酷な歴史に直面するのはつらいものです。不愉快な人もいるでしょう。でも、だからといって、それはなかったことにはならないし、過去の過ちから学べない人、国は、また同じことを繰り返すだけです。人は誰でも過ちを犯します。でも、過ちから学んで、二度と繰り返さないようにすることができます。生きるって、そういうこと。失敗して、学び、成長する。その繰り返しじゃないかな。

なんか、今の日本って、アメリカよりも危ないかも。

平良牧師とわたしの対談を聞いて感銘を受けたという方から以下の投稿をいただきましたので、紹介します。
http://kikuchiyumi.blogspot.com/2007/08/blog-post_3175.html

平良牧師とゆみ JPG



初めまして。練馬区にすんでいる大城と申します。先日、友人のところで、きくちさんが辺野古の平良牧師さんとお話している録音を聞かせていただきました。

現在、私の友人が、辺野古でカヌーに乗って非暴力の行動をつづけています。こうした縁のあるのものにとっては、沖縄は『近い」のですが、現在沖縄県の全市町村で抗議の決議があがっている、下記の問題については、本土のマスコミはほとんど黙殺です。

ささやかな企画ですが、練馬でも学びの場をもち、会わせて練馬区への働きかけをするために署名運動も始めております。きくちさんのお力で、多くの方々に宣伝していただければ、幸いに存じます。突然のぶしつけなお願いで申し訳ありません。

以下、集会案内を貼付けます。

<転送歓迎>
私たち、練馬の市民有志は、歴史教科書の沖縄戦「集団自決」検定修正問題について、沖縄だけの問題ではないので、練馬からも声をあげていこうということで、区議会に検定撤回の意見書採択を求める陳情を提出し、1万人の賛同
署名を集める取り組みを行なっています。

そして、これと並行して以下の緊急集会を予定していますので、お知らせいたします。賛同署名とともに、集会へも是非ご参加ください。

なお、沖縄では、9月29日にこの問題で、5万人規模の大集会が県知事も出席して開催されることが予定されているとのことです。

☆緊急集会in練馬☆
『今、なぜ沖縄戦の事実を歪曲するのか』
<歴史教科書の「集団自決」検定修正をめぐって>

すでにご承知のことと思いますが、教科書検定によって来年度から使用される高校の歴史教科書から、沖縄戦における「集団自決」に日本軍が関与していたという記述が削除されました。この検定に対し、沖縄では沖縄県議会と県内全41市町村が削除の撤回を求める決議を採択し、島ぐるみで抗議の声があがっています。

けれども、この問題は沖縄だけの問題ではありません。未来のために、真摯に事実を学ぶべき教育の場で、沖縄戦において日本軍が住民をまもらなかったことや、多くの沖縄の人々が「自決」を強いられたことなどが、曖昧にされようとしています。

今私たちは、この検定の持つ意味とねらいを知り、現状を変えていくために何ができるかを考えたいと思います。

日時:9月11日(火)6時半開場、7時開会
会場:練馬区立勤労福祉会館 集会室(西武池袋線大泉学園駅 南口下車・3分)
講演:沖縄戦集団死・「集団自決」歪曲と県民の運動について
山口剛史さん (「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」事務局長 /琉球大学准教授)
報告:「大江・岩波『集団自決』裁判」の現状について
岡本厚さん(岩波書店)
その他:練馬沖縄県人会の方など

資料代: 300円

主催:<沖縄戦教科書検定問題を考える9.11集会>実行委員会
連絡先:柏木 Eメール:m-kashiwagi@mb.neweb.ne.jp
電話090-8311 -6678

<練馬在住の賛同人>多数(省略)
* 集会のチラシおよび練馬区議会への陳情署名用紙が必要な場合は、上記連絡先まで請求ください。

NO BASE3の JPG

P.S.
この集会の前日の9月10日には、「大江・岩波『集団自決』裁判」の、沖縄出張法廷での証人尋問が行なわれます。山口さん岡本さんもその裁判に立ち会われますので、その報告も聞ける思います。
(注)大江・岩波「集団自決」裁判とは
2005年に、沖縄戦当時、座間味島守備隊の元隊長及び渡嘉敷島守備隊長の遺族が、住民の「集団自決」は隊長命令によるものではなかったとして、「沖縄ノート」の著者である大江健三郎氏と出版社の岩波書店に対し、出版差し止めと 名誉毀損に対する謝罪を求めて裁判を起こし、現在大阪地裁で係争中である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー転載ここまで。

というわけで、練馬区近辺の方で興味のある方はぜひ、お出かけください。

わたしはこの日はダブルヘッダー(昼間は田町のキャンパスイノベーションセンター、夜は六本木のスーパーデラックス)で911関連の講演をしています。その情報は、「きくちゆみのスケジュール」にアップしますね。平和省地球会議の準備で、他のことにはなかなか手が回らない!

*あなたの応援が私に勇気をくれます。クリックをありがとう。

1 件のコメント:

ちびまりこ さんのコメント...

おはようございます。
大阪もやっと朝夕涼しくなってラクになってきました。

ブログを読みました。
全く同感です。
日本政府がやろうとしている「事実の歪曲」を許すまい。
沖縄だけの問題ではない!と立ち上がっている練馬のみなさんに敬意を表したいです。


夏になると戦争に関する番組がたくさん放映されるけれど日本の加害の事実を語る番組は少ないです。
そこを学ばないと、何故全国の空襲で命が奪われ、沖縄戦が起き、ヒロシマナガサキの原爆が落とされたのかがわかりません。
まるで日本がなにも悪いことをしなかったのにエライ目に遭わされたみたいな印象が残るだけです。
10数年いやもっと長いことかけて侵略をやってきて、世界の孤児になってしまった軍国日本だったからこそ、あそこまでひどい目に遭うことになってしまった。
その報道がされないのが残念です。
それも意図があってのことですよね・・・。

「どうして日本はいつまでもアジア諸国に謝り続けないといけないのか」
とよく言われるけれど、こういう過去の事実を捻じ曲げるようなことが後を絶たないからこそ謝り続ける必要があるんだと思います。
「あの時はごめんなさい」といったん言っておいて、その後で「いやそれはなかった」はないでしょう。
そんなカンタンなこと、誰にでもわかることなのに。
友達同士だったらカンタンなことなのに、何故そういうことが「国」という大きい単位になったとたん平気でやられるのでしょう?

被害だけでなく加害の歴史にもしっかり目を向けないと大変なことになりますね。
ますます勉強が必要だなあと思います。

「歴史」ってなんなんでしょう?
こんなにカンタンに教科書からカットされてもいいことなんでしょうか?
「あった」ことを「ない」と言い切るなんて、罪にはならないのかなあ。

練馬の集会にも行けないし29日の沖縄の集会にも行けないけれど、周りのやれることからやっていこうと思います。
とりあえず練馬のみなさんがやっている署名をやろうと思います。

             ちびまりこ