3月8日、アレン・ネルソンさんのトークライブが、シビックアクション千葉とグローバルピースキャンペーンの共催で千葉市生涯学習センターにて行われました。当日は200人弱の参加者があり、アレンさんはおよそ50日の日本公演ツアーを無事終了し、帰国しました。300名の会場を埋め尽くすことができませんでしたが、親子連れや若い人の参加が多く、主催者としてはうれしい限りです。
日本の戦争体験者は年々少なくなっていますが、アレンさんのお話はまるで戦場を目の前で見ているような臨場感がありました。日本のフリーターの中に「体制をひっくり返し、全員を貧しくできる戦争」を望む声がある昨今ですが、彼らにアレンさんの話しを聞かせてあげたい。戦争をしても富裕層は安泰です。彼らは安全な場所にいて、貧乏人の息子たちを戦場に送るだけ。戦争は彼らのビジネスであり、貧乏人のいのちは金儲けの道具にすぎない。戦場で殺し合っているのは、それぞれの国の貧乏人同士。まだの方は、『戦争中毒』を一度読んでくださいね。
アレンさんの心に残った言葉をいくつか。「みなさんは米軍基地が日本を守るためにある、と信じているでしょうが、それは政府のプロパガンダ。米軍基地はアメリカが日本政府を支配するためにあるのです」
「日本政府に不満があったら、東京の国会ではなくてワシントンのホワイトハウス前でデモをしてください。日本政府に決定権はないのですから」
「日本は今もアメリカに占領されています。本土の人にはわかりにくいでしょうが、沖縄に行けばわかります」
「貧しさから高校を中退し、海兵隊に志願しました。シングルマザーの母を助けたつもりでしたが、母は喜んでくれるどころか、怒り、やがて泣き出しました」
「軍隊の仕事は殺すことであって、ソーシャルワーカーではありません。殺すための訓練を徹底的に受けます」
「教官が“おまえらは何がしたい?”と聞くと“KILL(殺す)”と答えます。声が小さいと、繰り返し同じ質問を受け、やがて若い兵士たちはKILL KILL KILLとうなり声をあげます」
「米軍がベトナムの村を襲撃した後、村に残っているのは2種類の人間です。死んだ人間と死につつある人間」
「襲撃が終わると死体を集めて数えます。男の死体、女の死体、子どもの死体と3つの山を作ります。足や手や頭が取れてしまった死体もそれらの部分を集めてきて一体にして、数えて報告をします」
「死体を探すのは簡単です。ハエを追って行くと必ず腐りかけた死体を見つけることができます」
「村を襲撃すると男たちは戦い、女たちは子どもを連れてジャングルを逃げまどいます。男たちを全員殺した後、女と子どもを見つけるのは簡単です。水も食べ物もなく逃げ回っているので必ず子どもたちが泣き出すからです」
「生き残った子どもが村に戻ってくると、女の死体の山から母親を見つけ取りすがり、決して離れようとしません。母親はもう死んでいるのに」
「生き残った母親が子どもの死体の山から自分のこどもを見つけると半狂乱になります。こういう光景を何度も目撃しました」
「戦場の臭いは死体の腐る臭い、肉体のこげる臭い、そして火薬の臭いです。この臭いを嗅ぐと胃の中のものを全部吐いてしまい、何も食べられなくなります。この臭いだけは今でも忘れられません」
「いい戦争映画はたくさんありますが、本当のことは伝えていません。兵士が子どもや女を助けるのは映画の中だけです。戦争映画がもし戦場の臭いを再現できたなら、誰も二度と戦争映画を観ようと思わなくなるでしょう」
「軍隊は敵国の人間を非人間化します。日本人はジャップ(ドブネズミのイメージ)、ベトナム人はグークス(獣)、イラク人は砂漠の猿、そして戦争中の日本人にとってアメリカ人やイギリス人は鬼畜。人間じゃなければ殺しても平気です」
「ある日、防空壕で少女が出産しようとしているところに立ち会い、その赤ん坊を取り上げたのです。この瞬間、私は別人になりました。ベトナム人も人間である、とわかったからです。それまではベトナム人はグークス(野獣)だと教わっていました」
「あの沖縄の少女レイプ事件のようなことが起きると、決まって米軍の司令官が頭を下げて謝罪しますが、本当は内心喜んでいるんです。私も沖縄で海兵隊の訓練を受けました。それは、ただ『殺せ、殺せ、殺せ』というものです。普通の人間を『殺せる』兵士に訓練することは容易ではありません。徹底的に洗脳し、非人間化し、殺人者にするのが訓練なのです。沖縄の基地は外から見るとなにか静かで平和に見えるかもしれませんが、中ではそのような訓練が行われているんです。あそこは戦時です。一日の訓練を終え、シャワーを浴び、兵士は夜の町に繰り出します。そのとき暴力を基地に置いていくことはできない。一緒に持っていくのです。兵士はもう人間ではありません。レイプでも殺人でも平気でできるのが『優秀な兵士』です。だからあの司令官は、レイプできるまでなった自分の兵士に満足しているのです。これで戦争の準備が整った、と」
「沖縄の基地反対運動の人たちに呼ばれて日本で初めて講演したとき、英文の日本国憲法を手渡されました。そして憲法9条を読んだとき、その美しい崇高な理念に打たれました。憲法9条はすべての国が持つべきものであり、核兵器より力強いものです」
「日本のみなさんは憲法9条のお陰でこの60年間戦争をしなくて済んだ。だからおだやかな優しい顔をしています。残念ながら世界の多くの国ではみな戦争を体験していますから、みなさんのような顔をしていません。これまで憲法9条がみなさんを守ってきたのです。今、憲法9条を変えようという動きがありますが、今度はみなさんが憲法9条を守る番です」
質疑応答の中で「日本の米軍基地の周りでレイプが多発していて、ヨーロッパの基地周辺ではないのは人種差別があると思う。白人だから(レイプ)しないのだと思う」という回答もありました。
わたしは司会をしていたのですが、涙をこらえるのが精一杯で最後のお礼もきちんと言うことができませんでした。アレンさんは現在、一年の約半分を日本で講演して歩いています。また戻ってきたときに、どこかでチャンスがありましたら聞きにいってください。このブログでも情報をアップするようにします。何度聞いても、その度に感動があります。
最後に、沖縄から
平良夏芽さんの声を届けます。米軍基地がある限り、レイプも暴力も続きます。求めるのは綱紀粛正ではなく、米軍基地の撤去。彼の話にはいつも共感します。
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