2009/01/14

ガザ問題についてのヨハン・ガルトゥングの声明

トランセンドのヨハン・ガルトゥングさんなら、今起きていることに対して何ていうのだろう、と思っていたら、ちゃんと声明が出ていましたので、転載します。日本語訳をしてくださった方に感謝です。
http://www.transcend.org/tms/article_detail.php?article_id=664

2009年1月12日

ガザの虐殺で展開されている巨大な人間の悲劇の向こうに、1つの問題が形成されている。イスラエルの指導者、政治家、軍部は完全に正気を失ったのだろうか?怒りから発射されたミサイルに対して、つまりちょっとした歯痛に対して、大きなハンマーで処置をするようなものだ。8人の殺戮に対して800人の殺戮を加えるのか?エジプトを攻撃したときのように、すなわちカイロの道路の交通渋滞に軍事指導者が巻き込まれた時を狙ったような洗練された周到さは一体どこに行ったのか?あるいは、1982年のベイルート爆撃の時、太陽と対空砲火の中間に飛行機を配置したように。

 イスラエルはミサイルを廃絶させたいのだろうか?もしそうならそれは理解できるしまた可能だ。PLOやハマスとテーブルにすべてのカードを置いて真剣に交渉すればよい。またオルメルトの中のオルメルトの知恵(彼の中には交渉を通じて解決しようとする側面もある――訳注)を通して、中東諸国との交渉も可能だろう。しかし不幸なことに、相互に依存し合う高度軍事国家――-自分以外の被害には麻痺し、地域と世界の帝国からまさに滑り落ちようとしている――はすでに彼の理解を超えた存在になっているのだ。
 もし彼らがミサイルを撤去したいのであれば、エジプトとガザを結ぶトンネルが地下にあるという「密輸トンネル理論」を受け入れればよい。山がちなレバノンと違って、ガザは自分で(ミサイル)製造能力をもちえないだろう。だから、短時間かつ集中的にトンネルを攻撃すればどうか。人的被害はほとんどないだろう。しかもイスラエルはトンネルがどこにあるかを知っている。

 そうした攻撃はエジプトの主権を侵すことになるのか? しかし、今までそれがイスラエルの主要な関心事であったことはない。たとえば、PLO指導者に対する短期間・集中的な攻撃のためにチュニスを侵略した時がそうである。おそらく、カイロからキャンプ・デイビッドに対して毎年行われている賄賂が停止されるのを恐れているのかもしれない。ともあれ、こうした戦略を計画実行者はまったくとろうとしていない。

 アルジャジーラで報道されているノルウェーの医師によれば、イスラエルは単に殺しに殺すだけではなく、ひどい傷を引き起こす兵器を使っている。「市民を標的にしていない」とIDFはいう。しかし、150万の市民が包囲された小さな場所に閉じ込められ、逃げ場がないところでのいかなる爆撃も、市民を犠牲にせずにはおかない。死者の50%が女性と子供で、その1/3が子供である。「意図していない」や「標的にしていない」は通用しない。

 ガザ:爆撃、爆撃、爆撃;殺せ、殺せ、殺せ。
 そして、供給を断つことに成功し、これほどうまくいった軍事作戦はどこにもなかったであろう――無邪気なミサイル攻撃が続いている間に。そして作戦の第3段階は、ミサイルがそこからやってくる場所、例えば台所などに入り込み、部屋から部屋へ、もっとも野蛮な至近距離での戦闘である。すなわち、ファルージャ・モデルである。白リン弾も使われるだろう。更なる残虐行為が起こり、更なる殺戮が行われるだろう。そしてイスラエル人も殺され、捕えられ、消される。ガザの人々に対するような恐ろしい方法でそのようなことが起こらないことを望むばかりだ。

 結論1:ミサイル攻撃からイスラエルを防衛するために立案された作戦としては、選択された戦略は甚だしく非合理的である。

 結論2:それは非合理性・バカバカしさをさえ超えている。女性や子供を殺すことも含めて全く意図的に行われている。どうしてこうしたことが可能なのか?

 ハマスを排除することは、彼らを投票した者、子供をもつ者、成人したとき投票する者も排除することを意味するのだ。言い換えれば、ガザの150万の人々に対するジェノサイドである。戦争からジェノサイドへの境界は、イラク・ストラテジーが選択され、女性や子供の犠牲が不可避になったとき超えられた。

 そして/または:イスラエルに反抗したという理由による集団的懲罰。それは第二次世界大戦時のナチ・ドイツのもとにおける100:1の殺戮に対する死刑を伴う報復である。それはまたレバノンやシリアなど他の諸国におけるイスラエルへの挑戦に対する警告でもある:われわれはどこまでも無慈悲になることができる。

 そして/または:米国や英国のような国家テロリスト、アルカイダやハマスのようなテロリストがとる戦略。その戦略は、ナチ・ドイツ、ガザ、米国またはイスラエルにおいて、標的にされた人々が自身の受難の理由は自分たちの指導者の政策のせいだと考え、それに反対して立ち上がることを想定するのだ。しかし、これは間違っている。彼ら(標的にされた人々)はテロリストそのものに対して立ち上がる。イスラエルはハマスを強めている――ハマスがイスラエルに一体化をもたらしているように。もちろん、永久にではなく、少なくとも殺戮が続く限り。

 ガザ:爆撃、爆撃、爆撃:殺せ、殺せ、殺せ
 結論1は、とられた手段は目的に対して不十分ということであった。結論2は、目的そのものが全く不適切ということであった。
 次のことを考えてみよう。二つの方向に向かう力が働いている。

 第1は、イスラエルは公言した目的に近づきつつある。ミサイルとハマスに終止符をうつという目的である。できれば国際的な監視の下で行うのが望ましい。

 第2は、大量殺戮の手段が用いられていることに抗議して、世界中でデモが行われ、ボイコットが考えられ、外交関係を厳しくする動きが起こっている。イラクにおける米国がそうであったように、人々がハマスに対して立ち上がり、そのことによる即座の勝利をイスラエルは望んでいたであろう。しかし、そうした勝利は彼らから逃げ、UNSCの決議も含めて抗議が拡大している。

 結論3:イスラエルはこの戦争に敗北しつつある――2006年のレバノンのように。それよりも一層そのようにいえる。というのは、ガザには国際的な監視を受け入れる者がいないからだ。ヒズボラは権力を担っていた。ガザはそうではない。

 そして、現在における建設ではなく、1967年以前のイスラエルに存在する権利があると信じるわれわれは、ジレンマに直面している。われわれは、スピノザやブーバーのソフトなユダヤ主義が広まるのを望んでいる。それは、トーラー・シオニスト・ヤボチンスキーのハードなユダヤ主義ではなく、タルムード的対話のユダヤ主義である。そうしたユダヤ主義を救うために、災厄そのものに他ならないシオニズムからイスラエルは自身を解放させるべきである。
 イスラエルは気付くべきだ。1987年の12月、投石によるインティファーダにイスラエルは直面した。そして2008年12月、北と南からのミサイルに直面している。そして、何が起こっているか? イスラエルは自身の墓穴を掘っているのだ。
ーーーーーーーヨハン・ガルトゥングのガザに関する声明、ここまで。

そして、日本の(東京近辺の)私たちができるアクションが舞い込んできましたよ。以下、高田健さんから:

 米国オバマ新大統領の就任式にあたり、下記の次第で駐日米国大使館への要請行動を行います。
 イスラエルのガザ侵攻を支持する米国への抗議と即時停戦への努力を要求することを併せた、アメリカ大使館要請行動にしたいと思います。さらに、米国はアフガンに3万の軍を増派することを決めました。
 武力で平和はつくれない、イラクからの占領軍即時撤退、アフガン増派をやめろ、アフガンからの外国軍の即時撤退めざして、一人でも多くの皆さまのご参加、ご協力を呼びかけます。

「みんな集まれ オバマさんに平和の手紙を」アクション
日時:1月20日(火)18:30〜
場所:虎ノ門JTビルまえ(地下鉄虎ノ門駅近く)。
主催:WORLD PEACE NOW
WPNからキャンドル、ペンライト、手紙のプラスターを用意します。
可能な限り、手紙(要請文)などを各自用意してください。プラカードなどの用意歓迎です。
-----------------------------------------------------------
許すな!憲法改悪・市民連絡会
高田 健
東京都千代田区三崎町2−21−6−301
03-3221-4668 Fax03-3221-2558
http://www.annie.ne.jp/~kenpou/
ーーーー高田さんからの情報はここまで。

仕事の進み具合次第で私も参加したい!意思表示が大事。それぞれの場でできることを工夫しましょうね。

なお、私は1月18日は午後から、明治大学リバティータワー1001(地下1階)で行われる「高岩監督追悼上映会」に参加します。上映会は午前10時から午後4時半まで開催。1月29日の「高岩監督ありがとう!映画祭@オリンピックセンター」と合わせてみると、理解が深まります。まもなく正式に発表しますが、1月29日、安部芳裕さん緊急トークが決定しました。お楽しみに。

*応援のクリック、ありがとう!人気Blog Rankingが上がると読む人が増え、メディアからは伝わりにくい大事なことが伝わるから。

0 件のコメント: