生老病死ー母を見舞って

お正月は年に一度、家族や親戚が一堂に会するときです。元旦の昼は夫の家族と都内のホテルで会食し、夜は私の家族と夕飯を共にしました。子どもたちは、おじさんやおばさんからお年玉がもらえて、とてもうれしそうです。

姉の家に泊まり、翌日、入院中の母を病院に見舞いました。以前、母が脳梗塞で生死の境をさまよったときは、たくさんの方からお見舞いの言葉をいただきました。ありがとうございます。

あれから、母は意識を取り戻し、今も小康状態を保っています。担当医によれば回復は難しく、現在は、話すことも、動くことも、食べることもできません。排出もできないので尿は直接管でとり、痰も出せないのでのどを切開して吸入しています。その状態は痛々しいものです。

母の目を見ていると、何かをいいたそうな感じで私を見つめ返します。母は体温があり、呼吸をし、生きています。私は足の裏をもみ、頬に触れます。触れられるとろこがそれぐらいしかないからです。

人はだれもが産まれ成長し、老いて病い（病気にならない人も稀にいますが）、やがて肉体を離れます。こちらの世界の死は、あちらの世界の誕生であり、魂が自由になる旅立ちだ、という考え方もあります。

私は生前の記憶もないし、臨死体験もないので、まだ死後のことはよくわかりません。でも、いろいろな人の体験や本などから、魂は永遠に続き、この地球には学びのために何度も産まれてくるのかもしれない、と思っています。

母の今生の学びは何だったのでしょうか。やりたいことをやり遂げられたのでしょうか。
そして、私の学びは。
何のために産まれて何のために生きているのでしょう。

病院で現代医療の延命治療を２４時間受けながら生きている母を観て、いろいろなことを思いました。

私はティーンエイジャーの一時期、「不良」と言われていたことがあります。あの頃、母にどれだけ心配をかけたのだろうか、と思います。大学を出て、１年間ヨーロッパに雑誌の特派員として旅立ったとき、母は空港で泣いていました。

自分も親になってみて初めてわかったことがたくさんあります。

親は、どんなときも子どもを愛していて、子どもの幸せを願っている、ということ。なかなかうまく表現できなくて、逆に伝わってしまうことが多いのですが。

私と姉がそれぞれ自立し、父が亡くなってから、母は心の支えや生き甲斐を失ってしまったようです。私が子どもの頃の母は料理好きで、夫と子どもが生き甲斐でした。そういえば、小さい頃は洋服も手作りでしたね。

お母さん、私を産んで育ててくれてありがとう。私は今、とても自分らしく生きることができて、幸せです。だから心配しないでね。今年はアメリカで非暴力コミュニケーションを学び、あちらでも仲間たちと自給自足のコミュニティー作りを始めます。遠く離れてなかなか会えなくなってしまうけれど、お父さんとお母さんからいただいたこのいのちを、最大に生かすことを約束します。

「何が君の幸せ　何をして喜ぶ　
わからないまま終わる　そんなのはいやだ

何のために産まれて　何のために生きるのか　
わからないまま終わる　そんなのはいやだ」

　　　　ーーアンパンマン

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