彼と私たちは、日本航空がホクリア開発に関わっていたときに出会いました。先住民のお墓のある場所を掘り返してゴルフリゾートを建設するということに反対して、初めて環境保護派の白人とハワイ先住民が一緒に立ち上がり、裁判をして、開発を止めたケースです。私たちも彼らの運動を日本から支援していました。
あれから長い歳月が過ぎ、ホクリア開発は頓挫しましたが、ハワイ全体の開発は止まりません。昨日はマウナケアという山の上で、携帯電話のタワーを建設する工事中に古い遺骨が見つかったとのことで、そちらに呼ばれていたそうです。どこかの工事現場で遺骨などが見つかると、ジミーは呼び出され(その扱い方を知っている人がいないので)、そこに出向いて、遺骨を清め、聖地を修復する、ということをボランティアでやっています。
そんな仕事のおかげで、ジミーはこの島にタヒチから征服者たち(後のハワイ王国の王族や貴族たち)が来る前の先住民の暮らしぶりについても遺骨から学ぶようになります。西暦1500年かそれ以前の遺骨には、人が殺された形跡がないのです。つまり自然死だけ、というのです。それまでのハワイ先住民たちは本当に平和に暮らしていた、ということの証左です。
それからタヒチからやってきた人々がハワイを治めるときに法律をつくり、法律を破ると罰したり、殺したり、生け贄を捧げるというのが始まったそうです。それまでそのような風習はハワイになかった、と。
ジミーは今、古い見捨てられた遺跡を修復する作業に情熱を燃やしています。そこはエネルギースポットでハワイの精霊からたくさんのメッセージをもらうそうです。ハワイはご存知の通り、その後、アメリカに征服され、クリスチャンに改宗させられ、ハワイの古い伝統は言葉も儀式もすべて禁じられ否定されました。その結果は惨憺たるもので、わずかに残っているフラなどを除くと、元々の伝統文化すべてを継承し実践している人は存在していません。
ジミーは今、やっと残ったわずかなものをたぐり寄せ、学び、再構築し、後世に伝えようとしているのです。
彼と知り合ってもう10年以上経ちますが、最近の彼は落ち着きが深まり、若いのにまるで長老のような風貌になってきました。紛争解決の術も学び、開発者との交渉においても、非暴力的なコミュニケーションによって互いが納得できる解決方法を1〜2年で生み出せる、と自信を持っています。ホクレア開発から学んだ痛い教訓を生かして、今はあのときのような闘いはしないそうです。確かに、ホクレア開発を巡る闘いでは、コミュニティーが反対と賛成に別れて、ずたずたになってしまいました。その傷は今も癒えていません。
毎日の生活は海で漁をし、山で狩りをし、農園で栽培をするという持続可能な暮らしをあたりまえのようにやっています。
「今はスピリットを完全に信用しているんだ。僕の役割はハワイの人々に奉仕し、愛と平和を広げることだけさ。だから怖いものは何もないよ」と笑うジミーは、10年前の闘うジミーとは別人です。
アロハスピリットは無条件の愛。アロハをこのハワイの地から世界に広げるのが、ジミーのライフワークのようです。こんな友達を持った私は幸せ者です。
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